
結論|倉庫・工場の遮熱工事は「建物に木陰をつくる」対策
倉庫や工場の遮熱工事は、室内を冷やす工事ではありません。
太陽の熱を屋根で反射し、建物の中に入り込む前に抑える工事です。
冷房がない倉庫・工場では、屋根が高温になることで室内環境が大きく影響を受けます。
遮熱工事は、その熱を「入る前に防ぐ」対策です。
なぜ木陰は涼しいのか?輻射熱と体感温度の関係

木陰が涼しく感じるのは、空気が冷えているからではありません。
直射日光を遮り、輻射熱を受けにくくしているからです。
同じ気温でも、
・直射日光の下
・木陰
では体感温度が変わります。
遮熱工事は、この「木陰の状態」を屋根で再現する考え方です。
金属屋根の倉庫・工場が暑くなる理由|熱伝導率の違い
倉庫や工場の多くは金属屋根です。
鋼板の熱伝導率は約50 W/m・K。
コンクリートは約1.6 W/m・K。
金属はコンクリートの約30倍も熱を伝えやすい素材です。

そのため、直射日光を受けた屋根は短時間で高温になり、
屋根全体が大きな熱源のような状態になります。
冷房がない倉庫・工場では、この屋根の熱が室内温度に直接影響します。
遮熱工事の仕組み|屋根で熱を反射して室温上昇を抑える

遮熱材は、太陽からの輻射熱を反射します。
その結果、
・屋根が高温になりにくい
・室温の上昇が緩やかになる
・天井や梁が熱を持ちにくい
という効果が期待できます。
遮熱は「冷やす設備」ではなく、「熱を入れにくくする工事」です。
倉庫・工場の暑さは2種類ある|外から入る熱と内部で発生する熱
倉庫や工場の暑さには、2つの要因があります。
- 太陽から屋根を通して入る熱
- 工場内で発生する熱
溶鉱炉や加熱設備など強い熱源がある場合、暖められた空気は上昇し、天井付近に滞留します。
そのような場合には、天井近くに排気口を設け、上部にたまった熱気を外へ逃がす工事を行うこともあります。

遮熱工事と屋根換気の違い|熱の「入口」と「出口」を整える
遮熱工事は、外から入る太陽の熱を抑える対策です。
一方、屋根換気は、内部で発生した熱を外へ逃がす対策です。
つまり、
- 屋根で「入れない」
- 天井から「逃がす」
という役割分担になります。
冷房がない倉庫・工場では、この組み合わせが効果を発揮しやすくなります。

遮熱は「入る熱を減らす」対策で、換気・排気は「たまった熱を逃がす」対策です。冷房がない倉庫・工場では、屋根で入る熱を抑えつつ、上部の熱気を排気する組み合わせが有効なケースがあります。
FAQ|倉庫・工場の遮熱工事でよくある質問
Q1. 冷房がない倉庫・工場でも遮熱工事の効果はありますか?
A. あります。
遮熱工事は「室内を冷やす」のではなく、屋根から入る太陽熱(輻射熱)を反射して室温上昇を抑える工事です。冷房がない建物ほど、屋根の熱が室内に影響しやすいため、効果を実感しやすい傾向があります。
Q2. 遮熱工事と断熱工事の違いは何ですか?
A. 抑える熱の種類と仕組みが違います。
断熱は熱の伝わる速度を遅らせる考え方で、遮熱は太陽からの熱(輻射熱)を反射して入れにくくする考え方です。熱伝導率が高い金属屋根の倉庫・工場では遮熱の方が効果的です。
Q3. 遮熱工事は新築と改修、どちらでもできますか?
A. どちらでも可能です。
ただし新築では設計段階で組み込みやすく、工事の段取りも含めて計画しやすいのが特徴です。改修でも効果は期待できます。詳しくは下記のの記事にて説明しています。是非ご覧ください。
「なぜ遮熱工事は「新築時」が一番コストパフォーマンスが高いのか」≫
Q4. 扇風機や換気と遮熱工事は併用したほうがいいですか?
A. 併用が有効な場合があります。
遮熱は「入る熱を減らす」対策で、換気・排気は「たまった熱を逃がす」対策です。冷房がない倉庫・工場では、屋根で入熱を抑えつつ、上部の熱気を排気する組み合わせが有効なケースがあります。
Q5. 工場内に溶鉱炉などの熱源がある場合はどう考えればいいですか?
A. 内部発熱の対策が重要になります。
強い熱源がある場合、熱い空気が天井付近に滞留しやすいため、天井近くに排気口を設けて熱気を外へ逃がす工事を行うことがあります。遮熱(外から入る熱)と排気(中で生まれる熱)を分けて考えるのがポイントです。
施工事例:溶鉱炉のある工場の暑さ対策|遮熱工事と腰屋根で室温改善|兵庫県
まとめ|冷房がない倉庫・工場ほど遮熱工事の効果は実感しやすい
倉庫・工場の遮熱工事は、建物に木陰をつくるような対策です。冷房がない建物ほど、屋根で熱を抑える効果は実感しやすくなります。
さらに、内部で発生する熱には排気対策を組み合わせることで、建物全体の熱環境を整えることができます。
遮熱工事は設備を増やす工事ではなく、建物そのものの性能を高める工事です。




