開催日:2025年12月9日(火)
参加者:4名

今回の勉強会では、今年10月に閉幕した大阪・関西万博に実際に足を運んだ社員が、「RITE未来の森」について紹介してくれました。展示内容や使われている技術、プロジェクトの目的などをわかりやすくまとめており、DACやCCSが抱える課題にも触れています。

RITE 未来の森 概要

「RITE未来の森」は、地球環境産業技術研究機構(RITE)が2025年大阪関西万博で出展した、未来の脱炭素技術を体験・学習できる展示です。
大気中のCO₂を直接回収するDAC(DirectAirCapture)技術を中心に、CO₂貯留(CCS)CO₂利用(CCU)など、多様な環境技術を実際に見学できる場として設計されていました。
この展示は、人が排出したCO₂を人の手で回収する未来の森を育てるようにというコンセプトの元、科学技術による気候変動対策を来場者が体験し理解できる構成でした。

主な展示内容・技術

DAC(大気中CO₂直接回収)実証プラント

●大気中の約0.04%という低濃度のCO₂を直接回収する技術

CO₂貯留技術(CCS)

●回収したCO₂を地下深部に安全に貯留する技術
●大気由来と排ガス由来の両方を扱う「回収と貯留」の実証を行う

CO₂の有効利用(CCU)

●CO₂をアスファルト舗装材などへ固定化する技術を紹介
●施設内舗装にはCO₂固定化素材が実使用されていました

プロジェクトの目的・意義

科学技術理解の促進 

最先端の環境技術を目で見て理解する場として、脱炭素社会に必要な技術を身近に感じられるように設計

ネガティブエミッション技術の認知向上

CO₂削減だけでなく、除去(NegativeEmission)の重要性を発信し、未来社会における位置づけを明確化する

国際舞台での情報発信

万博という国際的な場を通じ、日本の環境技術の方向性と未来モデルを世界に提示する役割を持つ

DACが抱える課題

大きなエネルギー消費

●低濃度CO₂の分離には多量の熱・電力が必要
●地域によってはCO₂排出が増える逆効果の可能性も
省エネ吸着剤開発・再エネ拡張が必須

高コスト

●現状:90,000~150,000円/tと非常に高額
技術革新・市場整備・炭素価格政策がカギ

設備の巨大化と土地需要

●吸着塔、ファンの大型化により土地・資材コストが増加
●世界規模で必要量を達成するには数千~数万基が必要との試算
小型化・モジュール化が改善策

社会受容性

●巨大な工業設備への地域理解を得ることが難しい場合がある
●万博のような″見える化″は社会受容促進に有効

CCSが抱える課題

貯留地層の限定性

●枯渇油田、深部塩水層など特定地層(約800~3000m程度の地下深く)に限られる

長期モニタリングの必要性

●100年以上の安全確保が必要で、地震の多い日本では懸念が生じやすい

CO₂輸送インフラ不足

●大量輸送に必要なパイプライン・船舶が未整備で開発コストが高い

ビジネスモデルの欠如

●CO₂貯留は利益を生まないため、国の支援や炭素税制度が不可欠

DAC×CCSの複合課題

コストの高さ

●DACとCCSを組み合わせた総コストは現行の脱炭素技術の中で最も高い

巨大なエネルギー需要

●数億~数十億トン規模を想定すると、国家単位の再エネ供給が必要となる

モラルハザード

●「吸えばよい」という発想が広がる懸念があり、削減の代替ではなく補完であるという位置づけが重要になる

まとめ

RITE未来の森は、環境技術を展示する場に留まらず技術・経済・制度・社会受容が複雑に絡み合う環境技術の実装課題を可視化するプロジェクトでした。
DAC、CCSの社会実装には多くの課題があるが、万博での展示を通じて未来社会の課題を体験的に理解でき、技術への関心と社会的受容を高める重要な役割を担っていました。

感想


現状の技術では二酸化炭素の回収にエネルギーを多く使用してしまうが、今後必要となる技術であるのは確かだと思う。技術の進歩で二酸化炭素排出の問題の解決につながる未来が楽しみ。


DACやCCSを設置するには、安全性を確保できる広大な土地が必要であり、さらに設備を監視・管理する人材(人件コスト)も必要になると思います。これらの技術を広く普及させるのは簡単ではないと感じました。
一方で、大阪・関西万博の「RITE未来の森」では、こうした技術を展示して、実際に見ることで、環境問題をより身近に感じられる良い機会になったのではないかなと思います。


出してしまった二酸化炭素を回収するために、多額のエネルギーとコストがかかる上に、今回の万博での展示等で、それを広く人に知ってもらうことで地球環境に意識を向けてもらうことも重要なんだと気づきました。この勉強会をとおして知ったこの技術が、今後、どのように進化していくのか見守っていくのも楽しみです。

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